甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
素直で可愛い返事なんて私に出来る訳ないから、こんな捻くれた言葉を返すことで精一杯だった。
いつまでもこんな態度ではきっと聖壱さんにも呆れられる、そう思って焦ってしまったの。それなのに聖壱さんは……
「それが香津美の返事でいいんだな?そんな言い方じゃ俺は自分にとって都合のいいようにしか受け取らないぞ?」
「え……?それってどういう……こらっ、ちょっと待ちなさい!」
聖壱さんは勝手に自分だけで何かを納得した様子を見せると、いきなり私をベッドへと押し倒してきたのよ。私の話はまだ終わっていないのに!
私は両腕を突っ張って聖壱さんの身体を何とか押し返そうとしているんだけど……
「どうしてだ?さっきの香津美の『馬鹿』は照れ隠しで、本心は俺と同じだって事だろう。香津美は二人の関係をもっと深めたいとは思わないのか?」
「そんな事いきなり言われても……!」
まだ私はそこまで考えてはいなかったのよ、いきなりそんな風に迫られたってまだ心の準備が……聖壱さんの気を逸らす、何かいい方法はないの……!?
「……隣っ、隣の部屋には柚瑠木さんと月菜さんもいるのよ?そんな状況で何かをしようだなんて、私は恥ずかしくて無理よ!」
これが理由ならばきっと聖壱さんも納得してくれるはず、そう思ったのに……