甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~


「このやろ……そんな事言われたら、思い切り優しくするしかないだろうが。」

 ふふふ。そんな事言っているけれど、私がどんな返事を返したって優しくするつもりだったんでしょう?
 でもね、本当に聖壱(せいいち)さんになら少しくらい酷い事をされたってかまわない。それくらい真っ直ぐに貴方の事を受け止めたいって思っているのよ?

 頬を撫でる聖壱さんの手がそっと首筋へと降りていくから、私は体の力を抜くように「はあっ……」と息を吐いた。私にとっては初めての事ばかり、緊張しない方が無理だもの。
 首筋を何度も往復していた大きな手が、私の顎に触れてそっと顔を上げさせる。私は何も言わず瞼を閉じた。

 唇に触れる柔らかな彼の感触。こんなにじっくりと味わうようなキスをするのは初めてで、今までで一番ドキドキしたかもしれない。
 何度も触れた後、そっと私の中まで侵入してくる彼の熱に、私は慣れないまま必死で応えることしか出来なかったの。
 想像よりも激しいキスに翻弄され、上手く息も出来なくて……彼の唇が離れた頃には私はトロンとした目をしていたかもしれない。それくらい聖壱さんとのキスは気持ち良かった。

「……香津美(かつみ)、その顔エロい。」

「私にそういう顔をさせているのは、聖壱さんでしょう?」

 聖壱さんの欲情した表情に戸惑いながらも、強気な返事をする。けれどそんな私の答えも、聖壱さんを喜ばせるだけで……

「もう、脱がせるから。」

 そうれだけ言うと、彼は私のシャツのボタンを一つずつ外し始めた。


< 113 / 126 >

この作品をシェア

pagetop