甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「香津美のその偉そうで我が儘な物言いも可愛いと思ってる。子供のことから犬を飼っているから少しくらい煩いのも気にならないしな。」
確かにキャンキャン煩いと言ったけれで私は犬じゃないわよ。なんでさっきからそんなに愛おしいものを見るような目つきで私を見てくるの?
びくびくしながらも聖壱さんのことを上目遣いで睨む。
「そういう顔、俺をその気にさせてるだけだって分からないのか?香津美のことだから計算してやってるわけじゃないだろう?」
「計算……?」
計算ならば私は得意な方だが、彼の言っている意味は違うんでしょうし。何を計算しているというのかしら?
不思議に思って聖壱さんを見ると、やれやれ、と言わんばかりに溜息をつかれた。
「何よそれ、失礼じゃない?」
「失礼なのは香津美の方だ。その気も無い癖に誘うような真似ばかりして。これだから……」
私は何も誘うような真似はしていないわよ?一度も経験がないのにそんなこと出来るはずないじゃない。
「変な事言わないで!私はまだ誰とも……!」
失言、聖壱さんの言葉にムカついて、なんてことを言ってしまったのかしら。こんなことバレたらきっと馬鹿にされるわ。
「香津美、経験ないのか……セックスも?」
仕方なく小さく頷く。もしかしたら経験が無いと知れば面倒だと思って諦めてくれるかもと思ったから。
「じゃあキスは?キスも………まだだったり?」
「それであなたに何か迷惑かけました!?」
思わず大きな声が出てしまう。聞かれている私は今どれだけ恥ずかしいか分かりますか?