甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
朝食を終えホテルを出てまっすぐレジデンスに帰っても良かったのだけれど、なんとなく2人そろって寄り道をしたの。
「聖壱さん、もっと右。右だってば!」
「分かってるって香津美、そんなに何回も言わなくても……ああ~」
大きなクレーンゲームの前、もう何度トライしたかしら?何のキャラなのか分からないフィギュアに聖壱さんはムキになってしまってる。
「右だって言ったのに聞かないからよ!もう、そんなにそのフィギュアが欲しいの?」
「んん、まあな……もう一回。」
私は聖壱さんが部屋にフィギュアを飾っている所なんて見たこと無いのだけれど……どうしてもこれが欲しいみたい。
聖壱さんの狙っているフィギュアは今流行りの悪役令嬢らしく、見るからに高飛車な雰囲気。どこがいいのよ、こんな人形?
「今度こそ……ここで……よし!」
ガコンと商品の落ちる音がして、しゃがんだ聖壱さんの手には悪役令嬢のフィギュア。聖壱さんはとても嬉しそうなんだけれど、私は何だか気に入らないわ。
「どうしてそれが良かったの?他にももっと可愛いのいっぱいあったじゃない。」
そう、月菜さん似の和風美少女とかね。
けれど聖壱さんはキョトンとした顔をして私を見てるの。私は何かおかしなことを言ったかしら?