甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「だってこのフィギュア、香津美に似ているだろ?優しい悪役令嬢とか悪者ぶりたい香津美にそっくりだもんな。」
「な、何でそんなこと……?」
確かに私は性格が悪いわよ?決して可愛いなんて自分だって思わない。けれどどうして私がずっと悪者ぶって生きてきたことまで……
「何度も眠りながら泣いて謝るってるんだもんな。なんか香津美のそういう所を見て、俺が守ってやりたいなって思ったんだ。」
「私、聖壱さんの前で泣いて……?貴方はそれを見て嫌にならなかったの?」
知らなかった。私が眠っている間に泣いている事も、それを聖壱さんが見て守りたいと思ってくれていたことも。
「気が強い所も性格が悪い所も、優しくて泣き虫な所も全部含めて香津美なんだ。嫌になんてなるわけがない。」
それが当然だとばかりに迷わずに言い切ってしまう。聖壱さんのそういう所にずっと救われている事、知らないでしょうね。
「聖壱さんには本物がいるから、フィギュアなんていらないでしょう?それともまだ香津美が足りない……?」
焦る聖壱さんからフィギュアを取り上げ、そのままゲームに並んでいる人に渡した。だって、ねえ……私だってヤキモチくらい妬くのよ?
「……聖壱さんの香津美は私一人で十分よね?」
フィギュアを諦めきれない様子の聖壱さんを黙らせて、さっさとゲームセンターを後にした。