甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
聖壱さんはしばらく何か考えていた様子だったけれど、大きな手のひらで私の頭を撫で始めた。
「ちょっと、勝手に頭撫でたりするの止めてもらえない?私は子供じゃないのよ。」
「んー、アンタ本当に可愛いな。これから香津美を俺色に染めていけると思うと楽しみだな。」
私を見てニヤリと口角を上げた聖壱さん。少しその笑みに色気があって……その顔を見ると身体がゾクゾクしてくるのよ。
「変態みたいな事言わないで!私は遠慮します。」
怒鳴っても聖壱さんは面白そうに笑っているだけで……なんなのよ、初めて会った時はニコリともしなかったくせに。
「そんな事より、もう寝るぞ?明日はテナントの方に買い物に行かなきゃならないからな。香津美も楽しみにしてろ。」
聖壱さんに奥の方で眠るように言われて横になると、シーツに伸ばした手に彼の大きくて筋張った手のひらが重なる。
「これくらいは良いだろう?他はちゃんと我慢してるんだから。」
我慢するなら全部我慢して欲しい、聖壱さんにはなんて事の無いことかもしれないけれど、私にはそうではないのだから。
結局、この夜は彼から伝わってくる体温が気になり、上手く眠る事が出来なかった。