甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「まさか、こんな可愛らしい性格だったとは……な。」
その言葉にぼんやりとしていた頭の中に警報が鳴り響き、現実に引き戻されていく。
……優しかったこの手の主は、いまなんて言ったの?
ゆっくりと瞼を開けると、目の前に見覚えのあるパジャマの柄と普段はあまり至近距離で見ることのない喉仏が……
しかも私はソファーの上で転寝したはずなのに、身体に触れているのは少し硬くて暖かい……どう考えてみても、それは男性の身体でしかなくて。
「目が覚めたのか、香津美。」
「……きゃあああああっ!」
状況を理解し急いで聖壱さんから離れようとするけれど、腰に回された腕が力強くて私を自由にしてくれない。
「は、離して!誰の許可を得て私の身体に触れているのよ!」
普段男性とほとんど関わることが無かった私。もちろんこんな事は生まれて初めての経験なわけで……
もう頭の中は大混乱、冷静な自分なんてどこかに吹っ飛んで行ってしまった。
「妻の身体に夫の俺が触れて何が悪い?眠ってるときは頬を摺り寄せ甘えて来たくせに。」
そんなの何かの間違いよ、私だ誰かに甘えるなんて……絶対にありえないわ!
聖壱さんと密着した状態に耐えられず、私は腕に力を入れて彼から離れようとするけれど余計に力を入れて抱きしめられるだけ。