甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~


 正直なところ、聖壱さんは変わった人だと思ってる。
 背が高くてハンサムで……会社を経営しているのだから、きっと仕事も出来るんでしょう?
 それなのに私みたいな捻くれた可愛くない女に「可愛い」とか「好きだ」と何度も伝えてくるの。貴方の方が視力は大丈夫って聞きたいくらいよ。

「そこのお皿、取ってくれる?」

 料理が出来上がったので、皿に盛り朝食の準備をする。聖壱さんは私が頼むと文句も言わずに手伝ってくれた。
 聖壱さんって発言は俺様なのに、凄く優しいのよね。

「いただきます。」

 きっちりと躾けられたのだろう、行儀よく食べ始める聖壱さん。私も食事を始めると、作った料理が少ししょっぱい事に気付く。しまった、味付けを失敗したんだわ。

「聖壱さん、この料理失敗してるの。無理に食べなくていいわ。」

「そうか?別に失敗なんてしてないだろ。俺は全部食べる。」

 どうして?はっきり失敗作って分かる味じゃないの。無理しなくていいって言ってるのに、どうして貴方はそんなに嬉しそうに私の料理を食べてくれるの?

「聖壱さんってバカで味覚音痴なんだわ……」

「誰が味覚音痴だ。俺はいつもそれなりの店で食事をしてる、舌は肥えている方だ。」

 そうでしょうね、さっきの料理するところを見ていたら想像つくわよ。でも、それならなぜ……

「聖壱さんはどうして今朝は料理を作ろうと思ったの?」


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