甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~


 聖壱さんは言いにくいのか、少し柔らかそうな髪をクシャッと掻き回した。あーあ、そんな事をしちゃったら……

「もう、髪がボサボサよ?直してあげるからこっち向いて?」

 そう言って聖壱さんの頭に触れようとすると、彼は凄い勢いで後ろへと下がった。何が起こったのかと思って聖壱さんを見ると、彼は顔を真っ赤にしていて……
 もしかして女性に慣れてない?いいえ、さっきまでべたべたと私に触れていたからそんなはずはない。
 じゃあいったいどうして?

「もしかして、私から聖壱さんに触れるのは駄目なの?」

「……悪いか?」

 別に悪くはないわよ、ちょっと驚いただけで。いつも余裕綽々な顔をしていそうな聖壱さんのそんな顔を見れたのも楽しかったしね。

「そうね、ちょっとだけ聖壱さんを可愛いと思ったわ。」

「香津美はそういう事、遠慮なく言うよな。俺が可愛いと言われて喜ぶわけないって分かってるくせに。」

 ふふふ、悔しそうな顔。聖壱さんはそういう顔も悪くないと思うわよ?
 結婚してすぐに「好きになった」なんて聖壱さんは言っていたけれど、貴方は本当に性悪な私を丸ごと愛せるかしらね?


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