甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~


 ドキドキしながら連れて来られた和菓子屋は、そんなに大きい店舗ではないのに趣があって高級感の感じられるお店。さすがセレブ達の集まる【ラピスヒルズビレッジ】内にあるお店なだけあるわ。

「若旦那、先日頼んだものは出来ているか?」

「これは狭山様、ご注文いただきました商品ならば職人が張り切って作りました。今お持ちします。」

 もしかして聖壱さんはこの店の常連だったりするのかしら?意外と甘いものが好きなのかしらね、今度甘味処にでも誘ってみようかしら?
 でも、私は2人の会話で一つだけ気になったことがあって。

「え?……注文?さっき聖壱さんは私に似合いそうな和菓子を見つけたって。」

「奥様、狭山様は私たちに「明るく華やかな、自分の妻になる女性をイメージした和菓子作って欲しい」と。それはもう奥様をべた褒めでして、私達も気合を入れて作らせていただきました。」

 え、それってどういう事?《《自分の妻になる女性》》という言葉から考えると、聖壱さんが私に「冷たくこの結婚は【契約婚】だ」と言っていたころの話ってこと?

「若旦那は余計な事を話してないで、早く取って来い!」

 何故か焦った様子の聖壱さん。私がチラリと彼を見ると、心なしか頬が赤い。まさか……そんな事私の思い違いよね?
 もしかして本当は最初から私の事を気にかけてくれていたのかも、なんて。



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