甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「こちらが狭山様からご注文いただいた商品になります。」
若旦那と呼ばれていた男性が、奥から持ってきたのは手のひら大の白い箱で……
「綺麗……こんな綺麗な和菓子初めてみたわ。」
箱に入っていたのはカラフルな花束の形をした和菓子で、それはとてもとても華やかだったの。まさかこんな美しいものが、私をイメージしたものだって言うの?
「気に入ったか、香津美。」
「聖壱さん、貴方私の事をどんなふうに伝えたのよ?いくら何でも……綺麗すぎる。」
こんなイメージを持たれているのかと恥ずかしくなって俯けば、聖壱さんを喜ばせるだけで。
こんなサプライズをされて私は嬉しくて、だけど照れくさくて何度も聖壱さんの背中を叩いてしまった。そんな私の可愛くない行動を、聖壱さんは「照れ屋な妻だ」と笑っていたけれど。
箱を大事に抱えて他の店も見て回る。宝石店によれば聖壱さんが勝手に商品を見せて貰い始めて
「これが、香津美には似合いそうだ!いや、こっちの商品も……」
なんて勝手に買ってしまいそうになるし。この人はちゃんと金額を見ているのかしらって不安になるわ。
でも彼が買おうとするのは、いつも私のための物ばかりで。
「どうして?」
「香津美にはいつも俺がプレゼントしたものを身に着けていて欲しいんだ。」
なんて、そんな事を言われて赤くならない女がいるかしら?聖壱さんは私に対する愛情も独占欲も少しも隠そうとはしない。