甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「この商品、色違いってあります?」
質の良いオリジナルの小物や雑貨を取り扱うお店で、ちょっと気になるカップを見つける。出来れば色違いの物も欲しくて近くにいた若い店員さんに声をかける。
「はい、どの商品ですか?」
「これ、なんだけど。出来ればもう少し……そう、そんな感じで。」
店員さんが奥に商品を探しに行くと、聖壱さんが私の腕を掴んで店から連れ出してしまう。どういうことか分からず私は目を丸くするばかりで……
「ちょっと、聖壱さん!私まだあの店員さんが来るのを待ってるのよ?」
「ダメだ!あの店員は香津美に色目を使っている。」
何を怒っているのかと思えば、そんな事?ヤキモチ妬きにもほどがあるわよ。
「貴方は私の夫でしょ?ちょっと話したくらいでそんなにヤキモチ妬かれたら、落ち着いて買い物も出来ないわよ!大体……」
「だいたい?」
「あのお店で店員さんに頼んだのは、聖壱さんと使うためのお揃いのカップだったのに……」
二人お揃いで使うものが欲しかったのに、それを駄目にされたんだもの。ちょっと拗ねてしまうわ。
そんな私の言葉を聞いて,聖壱さんはちょっと申し訳なさそうな表情で……
「さっきのは俺が悪かった。それに香津美の気持ちも嬉しかった、もう一度さっきの店に戻ろうか。」
素直に謝ってくれた聖壱さんと二人でお店に戻り、無事お揃いのカップを買う事が出来たのだった。