甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
契約と二度目の夜
「聖壱さん、いつまでもカップを見つめてにやけてるの止めてくれないかしら?夫のそんなにやけ顔を見せられ続ける私の身にもなってよ。」
正直、私は昼間にお揃いのカップを購入したことを後悔しそうになっていた。私が選んだのがお揃いだったことで、聖壱さんは私に対して何度も「可愛い妻だな、香津美は」と繰り返すからよ。
聖壱さんは私が何をしても、何を言っても【可愛い】で済ませてしまう。ちょっとした嫌味くらいではビクともしなくて……
それならどうにかして困らせてやろうって考えてしまうのは私の悪い癖かもしれない。聖壱さんにやられっぱなしなんて、そんなの私は我慢出来ないのよ。
「聖壱さん、奥の部屋ひとつ余ってるわよね。私が使わせてもらってもいいかしら?」
この部屋は二人で住むには広すぎて、いくつも部屋が余っている。一部屋くらい私の好きに使わせてもらってもいいんじゃないかしら?
「別に構わないが、一つ条件がある。」
「条件?それって一体……?」
部屋を使うだけなのに、どうして私はそんなものを出されなきゃならないのかしら?そう思っていると……
「香津美が奥の部屋を使うのは俺が家にいない時、それだけだ。どうせ香津美の事だから俺と寝室を分けようとか企んでいるんだろ?」