甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「こういう事がしたいのなら、他の女性を……」
抱けばいいじゃないと言いかけて、途中で言えなくなったの。聖壱さんがとても鋭い目で私を見ていたから。
「夫に他の女を薦めようとするな、俺だって傷付くんだ。大体、他の女なんて抱きたくない。俺は香津美だから抱きたいんだ。」
聖壱さんの言葉はいつだってストレートだわ。けれど私はまだ、真っ直ぐに伝えられる愛の言葉の受け止め方を知らないの。
「私を抱いてどうするの?契約結婚の私達には子作りなんて必要ないでしょう?」
「香津美、俺は子作りのためだ気にお前を抱きたいわけじゃない。香津美と愛を確かめ合いたいからだ。」
分かってるわ。肌を合わせるという行為が、愛し合う二人の間で行われるものだってことくらい。分かってるけれど、私はまだ聖壱さんのことを……
「まずは俺を夫として、そして一人の男として見ろ。」
まだ私達は夫婦になったばかりなのに、形ばかりという約束だったはずなのに……どうしてこんな事に?
「聖壱さん、私は……愛し方なんて知らない。」
「じゃあ、まず俺に愛されろ。そして愛を学べ。」
この人は狡い、私は誰かに命令されるのなんて大嫌いなはずなのに……偉そうな聖壱さんの言葉に一瞬だけどキュンとしてしまった。