甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
契約と仕事の始まり


「最初に交わした契約通り、香津美には休み明けから働いてもらうつもりだが……」

 手に持ったお揃いのカップに口を付けながら、聖壱さんの話を聞く。
 今朝のコーヒーは聖壱さんが淹れてくれたの。卵もまともに割れない人だから心配で見ていたけれど、コーヒーを淹れるのは得意らしい。

「ええ、ちゃんと分かっているわよ。私はどんな仕事をすればいいのかしら?」

「香津美には俺の秘書をやってもらいたい。今まで何度か秘書はいたんだが、俺の振る仕事量が多すぎるらしくすぐに辞めていってしまうんだ。」

 確かに聖壱さんは仕事に厳しそうな感じがするし、本人が仕事が出来る人だろうからその感覚で仕事を割り振っているのかも。
 いつかこういう日のために色々な事を学んできたのよ、望むところだわ。

「いいわ、仕事中は妻ではなく部下として聖壱さんの会社のために働くわ。」

「香津美のそういうハッキリした性格もいい。だが俺は妻だからと甘やかすつもりはない、仕事は厳しくいくからな。」

「ええ、そうしてちょうだい。」

 今までは岩崎の叔父様の関わっている会社で、お人形のような扱いばかりを受けてきたの。厳しくても自分の能力を試せる仕事が出来ると思うと私はワクワクしていた。

 この時はまさか聖壱さんの方が、仕事で公私混同してくるとは思ってもいなかったから。


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