甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「聖壱さん!」
いつの間にか柚瑠木さんのすぐ後ろに聖壱さんが立っていたの。さして驚いた様子も見せない柚瑠木さんの肩に手を置くと聖壱さんは言った。
「これからきちんと香津美に話すんだから、余計な事を言って混乱させるな。」
「……そうですか。それよりおそかったですね、聖壱。人を呼び出しておいて自分は遅刻ですか?」
柚瑠木さんは腕時計を聖壱さんに見せてそう言った。ああ、柚瑠木さんって見た目通り時間に細かい人だったみたいね。
「遅刻ってたった4分だろ?いいから中に入れって、ここで話すと迷惑だ。」
柚瑠木さんにはソファーに座ってもらい、私は全員分のお茶を入れて自分の席へ。聖壱さんは私たちの間の椅子に座っている。
「柚瑠木、月菜さんは連れて来なくてよかったのか?」
ああ、確か柚柚木さんの奥さんになる女性の事よね。その女性もこの話に何か関係があるのかしら?そう思ったけれど、柚瑠木さんは……
「いえ、僕は月菜さんには何も話すつもりはありませんから。」
と、首を振るだけだった。私は柚瑠木さん達の事も気になるけれど、今は聖壱さんが話始めるのを待つことにした。
「じゃあ……そろそろ始めるぞ?」
そう言うと聖壱さんは椅子から立ち上がり、自分の身内の件についてゆっくりと話を始めた。