甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「まず香津美、お前は俺の親父がSAYAMAカンパニーの社長だという事は知っているよな?」
「馬鹿にしているの?聖壱さんのこともご両親の事も、私は結婚前にちゃんと調べて覚えているわ。」
当たり前の事を聞かないでもらいたいわね、いくら私でもそこまで夫にことに興味のない妻じゃないわ。でもそんな文句をいちいち言っていたら話が進まなくなりそうなので、ぐっと我慢したの。
「それならばいい。じゃあこれも知っているとは思うが、俺の会社とSAYAMAカンパニーはそれなりに大きな取引をしているんだ。もちろん俺が社長の息子だからと言って、特別扱いはしてもらってはいない。」
確かにSAYAMAカンパニーの大口取引先に聖壱さんの会社の名前があったことは記憶している。でもそれ聖壱さんの身内の話とどう関係があるのかしら?
「それは聖壱さんの性格を知れば分かるわ。ただ貴方の事をよく知らない人がどう思うかは分からないけれど。」
そう……私も聖壱さんの仕事ぶりを目にするまでは、彼のことをただの俺様なお坊ちゃんだと思っていたんですもの。
「そうだ。香津美の言う通り親父が社長を務めるSAYAMAカンパニーには、息子の俺やもう一つの大口取引先である二階堂財閥の御曹司、二階堂 柚瑠木の事をよく思っていない人間が一定数いるんだ。」
「じゃあ、まさかその人たちの中に問題の身内の人が――――?」