甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
玄関も広くて綺麗、キッチンは使いやすく丁度いい高さだった。リビングも大満足の広さで、これなら快適に暮らせそう。
「こっちが寝室だ。」
ドアを開けられ中を覗くと、キングサイズのベッド。どう考えても一人で眠るには広すぎるそれ。えっと、これはまさか……
「あの、私の寝る場所は……?」
恐る恐る聞いてみる。ちゃんと契約の内容を確認していなかった私も悪いのだが、まさか一緒に寝なきゃいけないなんてこと無いわよね?
私達は契約婚なのよね?
「このベッド以外のほかにベッドが見えるのか、お前は。俺は十分2人で眠れる広さを選んだつもりだが?」
「……そう、ね。」
余程寝相が悪くない限りはこの広さがあればいいでしょうね。だけど、私が心配しているのはそういう事じゃないのよ。
「何だ、気になっている事があるのなら話せ。」
「いいえ、何でもないわ。」
聖壱さんは様子のおかしな私に気付いて、何か不安な事があるのか?とも聞いてくれた。
でも男性経験の全くない私からはとても言い難い話で……
結局、聖壱さんに何も話す事の出来ないまま夜を迎えてしまった。
「聖壱さん、大事なお話があるんです……」
私は意を決して彼に自分の中で結婚前から決めていたことを話す事にした。