甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「囮……ってどういう?」
柚瑠木さんの言葉が信じられなくて、彼らに聞き返してみる。まさかその囮というのは……もしかしすると、という考えが頭をよぎる。
「そのままの意味です。もちろん僕らが囮になる事は不可能ですから、その代わりに――――」
いつもとまったく変わらない様子で話す柚瑠木さの言葉が、きちんと理解出来ないような気がするの。彼の言い方だとまるで私たちが……
「柚瑠木!それ以上は……っ!」
少し慌てた様子で聖壱さんが柚瑠木さんを止めに入った。だけど柚瑠木さんは鬱陶しそうに聖壱さんの手を払うだけで。
「何故止めるのですか、聖壱。せっかく香津美さんが《《自分から》》協力したいと言ってくれたんです。きちんと話をして、内容を理解しておいてもらうべきではありませんか?」
なに、一体どういうことなの?確かに私は聖壱さんのために自分から協力したいと言ったけれど……
「まさか貴方達本当は、私や月菜さんに何も伝えずに勝手に囮にしようとしていたの……?」
私はこうして話してもらえたけれど、きっと月菜さんは今も何も知らないままなんでしょう?そんなのあまりにも勝手すぎるわ。
「香津美さんや月菜さんには申し訳ないとは思っています。けれどこれが僕達が何度も話し合って出した結果なんです。」