甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
恨まれるのは自分一人でいいって……柚瑠木さんの考え方も分からない訳じゃない、でも月菜さんがそんな事を望んでいるとも思えない。
「それじゃあ、柚瑠木さんは最後まで彼女には話さないつもりなの?そんなのって……」
「香津美さん、これは僕たち夫婦の事なんです。だからこれ以上は口を出さないで欲しいんです。」
柚瑠木さんの反応は冷たかったけれど、静かに目を伏せるから本当はこんな風に言いたくないんじゃないかって思ったの。
心からこんな事を言えるような人なら、聖壱さんはこんなに柚瑠木さんのことを信頼してはいないと思うもの。
「もし……柚瑠木が月菜さんに話す気になったらいつでも協力するからな?な、香津美。」
ほら、聖壱さんは柚瑠木さんのことを決して放ってはおこうとはしない。きっと2人にしか分からない固い絆があるんでしょうね。
「もちろんよ、何なら私がこれからの月菜さんの相談相手になってもいいわ。」
そう言えばいつだったか、聖壱さんに私は月菜さんに懐かれるって言われたのだったっけ?まあ、それも悪くないわね。
「本当にお節介なんですね、貴方達夫婦は。」
呆れたような、少しだけ喜んでいるような……そんな柚瑠木さんの返事に私と聖壱さんは微笑み合った。