甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「では話の続きになりますが、問題の聖壱の身内たちは僕達が彼らの不正について調べている事にもう気付いています。ですからあちらも僕らの弱みを握りたいと思っているはず。」
柚瑠木さんの淡々と話す内容に、少しだけ不安も感じてる。本当に私に囮が務まるのか、彼らに迷惑をかけることにならないかと。
「その聖壱さんと柚瑠木さんの弱みというのが私と月菜さんっていう事?」
「そう、俺達だって人間だ。新妻に何かあれば冷静な判断を失うはず、奴らはそこに付け込もうとするだろう。そのために香津美達に近付いてくるはずなんだ。」
なるほど、そのために聖壱さんと柚瑠木さんは私達との結婚を急いだのね。式を後回しにしたのも、きっと私達が離婚しやすい様になのでしょう。
「じゃあその時、私は何をすればいいの?」
もう乗り掛かった舟だもの、聖壱さん達の力になるためにやってやるわ。それに、月菜さんのこともあるしね。
「そうですね、彼らが香津美さんに近付いてきたときに、貴女にやっていただきたい事は――――」
その日は遅くまで、聖壱さん達とその事についてしっかりと話し合った。
月菜さんにも話した方がいいともう一度柚瑠木さんを説得したけれど、彼は首を振るだけだった。