甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
契約と夫の気持ち
「結局、香津美は自分が「正しい」と思った通りの行動しか出来ないんだな。俺がこれだけ心配しているってのに。」
柚瑠木さんが帰っていった後の寝室のベッドの上、私は聖壱さんに抱き締められて髪を弄られている。
彼がこれからの事を心配している事は分かるから、好きにさせているけれど……困ったことにいつまでたっても離してくれないのよ。
「聖壱さんの気持ちは嬉しいわ。だけど聞いた以上私も貴方の妻として役に立てることを見せたいし、何も知らされてない月菜さん一人を危険な目にあわせるのも気分が悪いしね。」
そう、これは彼らのためだけではなく自分のためでもあるの。後でこうすればよかったわ、なんて後悔しないためにね。
「香津美のそういう所がたまらなく可愛い。意地悪そうな態度なのに、結局はいつも悪女になり切れてない……そういう所がどうしようもなく愛おしい。」
「またっ……!そういう事ばかり言う。私そろそろ眠りたいの、この手を離して……きゃっ!」
彼の腕から強引に逃れようとすると、そのままベッドの上に押し倒されてしまう。長い髪がシーツに散らばって、それが目に入ると妙に緊張する。
「……なんのつもり?」
「今日の話し合いで香津美の発言に、俺はかなり我慢して反対しないでいたんだ。それを香津美はちゃんと分かっているか?」
そう言えば今日の話し合い、一番反対しそうな聖壱さんはほとんど黙っていた。やはり全部納得しているってわけではなさそうね。