甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~


「聖壱さんが私の事を心配して反対している事は分かってるわ。確かに危険な目にあうかもしれない、だけど……」

 私が言い終わらないうちに、聖壱さんが私の両手首を掴んで片手でシーツに縫い留める。グイグイと動かそうとするけれどビクともしなくて……

「香津美はその危険な目のうちに、こういう可能性がある事も分かってるのか?」

 そう言って聖壱さんはパジャマのボタンを外して私の肌に触れてくる。いつもだったら反抗するところだけれど、今日は何も抵抗はしなかった。
 首筋に触れる聖壱さんの熱い息がくすぐったかったし、肌を滑る彼の手にゾクゾクもしたけれど……

「……何故いつものように抵抗しない?」

「だって、今の聖壱さんわざと私から嫌われようとしているでしょう?貴方の思う通りになってあげるほど、私は可愛い女じゃないのよ。」

 そうやって自分が悪者になってしまおうなんて、そんな考えは私には通じないの。そんなに簡単に騙されるような使いやすい女だとは思わない事ね。

「香津美……お前は本当に少しも俺の思い通りにはならない女だな。まあ、そこに惹かれているんだが。」

「誉め言葉だわ、今まではずっと誰かの思い通りにならなきゃならない人生だったしね。」

 今まで学校も就職も習い事も……結婚も、すべて身内の望まれるがままに生きてきた。
 だけどこうして素の私を認めてくれる人がいるだけで、私は何でもできるような気がしてくるの。



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