甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「貴女が二階堂 柚瑠木さんの奥さん、二階堂 月菜さんよね?」
こうして私と一緒に連れて来られたという事は、彼女が月菜さんである可能性は高い。あの男たちがここに戻ってくる前に少しでも早く彼女を落ち着かせ安心させてあげなければ……
「あの、私は……」
余程怖い思いをさせられたのかしら、女性は震えるだけで上手く喋れない様子。ふとその時女性がしっかりと握りしめている白クマのマスコットが目に入る。
……間違いないわ、この女性は二階堂 月菜さんだ。
「小柄で色白、持ち物は白クマのマスコットの付いた鍵……聞いていた通りだわ。あのね月菜さん、私の名前は狭山 香津美。二階堂 柚瑠木さんの親友の狭山 聖壱の妻よ。」
「狭山さんの……奥さん?」
私が聖壱さんの妻だと名乗ると、少し安心したのか月菜さんはジワリと瞳に涙を浮かべた。こんなか弱い女性に何も伝えないなんて……私は柚瑠木さんの考えにはどうしても納得出来ないでいた。
「大丈夫よ、ここは私達が何とかしてみせるから。月菜さんは私の後ろに隠れていてちょうだい。」
きっとすぐに聖壱さん達が助けに来てくれるはず。さすがに私たちのバックは奪われてしまったけれど彼らなら何とかしてここまで来てくれるはずだから。