甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「あの、この事を柚瑠木さん達は……?」
知っているのかと聞きたいのでしょうね。けれど柚瑠木さんが月菜さんに何も説明していない以上、余計な事を話せば混乱するだけでしょうし……
「心配いらないわ、必ず彼らが何とかしてくれるはずだから。月菜さんは何も不安がらなくていいのよ。」
肩に手を置いて月菜さんを少しでも安心させようとすると、彼女はそっと震える身体を寄せてきた。
「私、簡単に騙されてしまって。柚瑠木さんに迷惑を……」
こんな状況なのに、怖くてこんなに震えているのに月菜さんは柚瑠木さんに迷惑をかけて申し訳なさを感じてしまっている。
もう!こんな優しくていい子に何の説明もしないなんて柚瑠木さんは一体何を考えているのよ!
震える小さな肩を抱きしめて頭を撫でると、小さな嗚咽が聞こえてくる。きっと月菜さんは怖くても必死に一人で耐えていたのでしょうね。
「大丈夫よ、貴女は絶対に私が守ってあげるから。」
か弱いのに一生懸命頑張る姿が私の妹の【なほ】に似ている。聖壱さん達が来るまで、私が月菜さんを何としてでも守らなくては。
しばらくそうしていると、扉の開く音がして先程の男性二人とそれ以外の数人の男女が部屋に入って来た。
その中にはSAYAMAカンパニーの重役として顔を見たことのある人も混じっていて――――