甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「ふふふ、これでやっとあの子達に一泡吹かせることが出来るのね。どんな顔を見れるのか楽しみだわ。」
「ああ。関係の無い彼女達には悪いと思うが、恨むのなら余計な事に首を突っ込もうとばかりする自分達の夫を恨むんだな。」
勝ち誇ったような笑みを浮かべていられるのも、今のうちだけだから好きにしてればいいわ。
貴方達のような人達がいるのに、聖壱さん達が何の対策もしてないと思う方が甘いのよ。
震える月菜さんの背中を撫でながら、私はリーダー格の男性の言葉を待つ。彼が私達に要求してきそうなことなんて、最初から分かってる。
私達の前にある小さなテーブルに、男性が2台のスマホを置いた。
「今から彼らに電話をかけて「助けて欲しい」とお願いしてください。これくらいの事は、出来ますよね?」
「……聖壱さん達に助けを呼ぶだけでいいのかしら?」
もちろんこれだけで済むわけがない。彼らが助けに来る前に、この人たちは何らかの条件を付けてくるはず。そう思って聞き返すと、彼は私の返事に満足そうな顔をする。
「よく分かっていらっしゃる、もちろんこちらも、大事な奥さんをタダで返してあげる訳には行きませんからね。」
男の言葉に抱きしめていた月菜さんの身体がビクリと揺れた。怯えているのか、彼女の私の服を掴む手の力が強くなる。