甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「ふん、そんな言葉一つくらいならば私にだってどうとでも出来ますよ。すぐにもみ消して今度こそ貴方達を――――」
ここまで追い詰められても、まだ狭山常務は引こうとしない。もう彼に勝ち目はなく、他の人たちはそっと部屋の扉から外へ出ていこうとしているのに。
……けれどそんな常務の強気な発言もここまでだった。
「その必要はないよ、狭山常務。先程の会話ならば、僕のこの耳でちゃんと聞かせてもらったからね。」
いつの間にか部屋の扉の前に一人の男性が立っている。
ピシッとスーツを着こなし白髪交じりの髪を後ろに流した、聖壱さんとよく似た雰囲気の初老の……私はこの人を知っている。
「狭山社長、どうしてここに!?」
そう、そこに立っていたのは間違いなく狭山社長で……まさか聖壱さん達に調査を頼んだ本人がここに来るなんて。
「狭山社長、これでハッキリしただろう?これ以上彼らにSAYAMAカンパニーを任せることは不可能なんだと。」
これもきっと聖壱さんと柚瑠木さんの中では決まっていた計画だったのでしょうね。だけど私は聞いてなかったから、後でもしっかり文句を言わせてもらうわよ?
さすがに今度こそ常務も諦めたでしょう、そう思って狭山常務を見ると彼はブルブルと身体を震わせていて……
「違うんです社長、私達はみんな聖壱達に騙されたんです!この女たちもグルになって私達を……!」