甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
「ほら、社長。この娘たちも聖壱たちの事をこう言って……」
自分にとって都合のいい会話にはすぐに乗って来るのね、けれどそれも全てこちらの思い通りになっているとも知らないで。
「確かにそうなのだけれど……狭山常務達の人質になることは私の方から進んでしたことなのよ。それに聖壱さんや柚瑠木さんは私達のことを契約妻だからと言ってないがしろにしたことなど一度だってないの。私達を道具の様に扱おうとする狭山常務たちと違ってね!」
「……くっ、この生意気な小娘が!」
怒りのあまり私に拳を振り上げる常務の拳を、聖壱さんが右手で受け止める。その姿がちょっとだけカッコイイと思ったのは内緒にしときましょう。
「覚えておけよ、お前達。私をこんな目にあわせて……いつか後悔する事とになるからな。」
唸るように絞り出す低い声、この状況でもまだ負け惜しみを言う事が出来るのね。
けれどこれ以上は、聖壱さん達や月菜さんに手は出させないわ。
「聖壱さん達の罠にまんまとかかっておいて、偉そうにしないで欲しいわね?狭山常務の方こそ、私の大切な夫を陥れようとしたことをこれからたっぷりと後悔するといいんだわ。」
悔しさで思い切り顔を歪める狭山常務に、私はこれ以上ないほど嫌味な笑顔を見せてやったの。
私みたいな生意気な女に馬鹿にされることがきっと彼には一番辛いはずだから。