彼氏君と秘密

今日は最悪な日だった。

そう思ってたのに……。


「な、何でいきなり?」


どうして私は殿下に交際を迫られているんだ?

もしかして私の気持ちを知ってからかってるだけだったり?

問い掛けに問い掛けで返した私に、殿下は考えながら言葉を発した。


「や、前から俺のこと好きって子がいるとは聞いてて。まあ宮坂のことだけど。」


ああ前から知ってたんだ。

私が殿下を好きなこと。


「……で、今日家庭科室にいたら盛大なため息のあとに慌てて空気すってるその子を見つけたから声かけた。」


改めて言わなくてもついさっきのことだ。

私だって覚えてますよ。

あと空気すったとか恥ずかしいから思い出させないでほしい。


「そしたら真っ赤になって。あ、かわいいかもって思ったんだ。」
< 15 / 36 >

この作品をシェア

pagetop