彼氏君と秘密

「ため息吸うんだ。」


殿下が話し始めた。

私は赤い顔を隠すために俯いたまま何も言えない。


「何で?」


殿下が興味津々という感じの声を出す。


「しあ…せを……りこむために……」


私がぼそぼそと答える。


「……ああ、なるほどね。」


ちょっと間があったのは、私の言葉が全部聞き取れなかったからだろう。


「……」


「……」


会話が終わったと双方が感じたはず。

なので、私はゴミを捨て始めた。

殿下もまた、教室の奥へと消えた。
< 9 / 36 >

この作品をシェア

pagetop