絶対様
それから予定通り近くのコンビニに向かった。


店内に入った瞬間見知った顔がレジ打ちをしていてあたしは「あっ」と声を上げた。


しかし、相手は気がついていないようだ。


胸には三枝真里菜とネームがつけられていて、小さな初心者マークが張られている。


今日が初出勤なのかもしれない。


大金を手にすることができなかった真里菜は、結局アルバイトで地道にお金を稼ぐことにしたようだ。


咲と一緒にいることでおごってもらえていたみたいだけれど、そうするためには万引きをして転売する必要があった。


真里菜はそれからも足を洗ったのかもしれない。


最初から全うに働けばよかったのに。


そう思いながらお昼ご飯を何にするか考えて店内を歩く。


その時、ドリンクコーナーからレジへ視線を向けている男がいることに気がついた。


視線を追いかけて見ると、どうやら真里菜を見ているらしい。


男は40台半ばくらいで黒い帽子を深くかぶり、黒いズボンと上着という姿だ。


真里菜をみながらズボンの位置をひっきりなしに直している。


かと思えばズボンのポケットに手を入れて、なにかをまさぐるしぐさをしはじめた。


その行動に気味の悪さを感じてあたしはすぐにその場を離れた。


もうお昼を買う気もなくなって、そのままコンビニを後にしたのだった。
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