絶対様
ホームルームが始まっている廊下は誰の姿もなかったが、光は逃げるように女子トイレへと駆け込んだ。


よほど今の姿を見られたくないんだろう。


鏡の前に立ち、そっとマスクを外す。


その下の顔を見た瞬間あたしは悲鳴をあげそうになってしまった。


そのくらい光の顔の下半分はひどいことになっていた。


ずっとマスクで蒸れている状態だから、余計に悪いんだと思う。


ブツブツとしたニキビが密集し、その先端は赤く腫れている。


中には黄色いウミが出てきているものもあった。


もしも自分がこんな顔になったら?


そう考えただけで死にたくなった。


きっと光も同じような気持ちになっているのだろう。


「これ、どうすれば治ると思う?」


質問されても咄嗟には答えられなかった。


薬で悪化したと言っていたし、清潔を保つことはすでにしているだろうし。


となると、次に何をすればいいのか検討もつかなかった。
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