絶対様
丘の上の廃墟というのは、ここから20分ほど離れた簡素な場所にある建物のことだった。


昔は老夫婦が暮らしていたらしいが、今は若者たちのたまり場などどして使われている。


美緒とあたしはあの3人に連れられてその廃墟に何度か足を運んだことがあった。


もちろん、楽しい思い出なんてひとつもない。


あの廃墟内に連れ込まれて暴力を振るわれた経験しかないのだから。


咲は明日あたしをあの場所に連れて行こうとしているのだ。


嫌な予感しかしなかった。


せっかくの休みで心休まる時間を持つことができると思っていたのに、それは咲からのメッセージで打ち砕かれることになってしまった。
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