絶対様
☆☆☆

あたしがやってきたのは駅前だった。


あたしが暮らしている町は田舎だけれど、駅前まで出てくるといろいろなお店が立ち並んでいる。


学生さんの行き来も多いため、スイーツのお店や雑貨やなど見て回る場所もある。


ひとりでブラブラと商店街を歩き、時々気になった店に入って商品を眺める。


それだけでも十分楽しむことはできるのだけれど、はやり気になるのは美緒のことだった。


商店街を角から角まで見て回る間に何度もスマホを確認したけれど、美緒はメッセージを見てくれていないようだった。


歩きつかれてきたし、近くに喫茶店に入ることにした。


昔ながらの喫茶店は店内はこげ茶色のもので統一されていて、ドアを開けると鈴の音色が響いた。


穏やかな店内音楽にホッとしながら足を進めると、あごひげを蓄えた店長と思われる男性に席まで案内された。


窓際の2人席だ。


クリームソーダを注文して、ぼんやりと誰も座っていない前の席へ視線を向ける。


ここには何度か美緒と一緒に来たことがあった。


最初に来たのは中学2年生の頃で、あの時は喫茶店に入るのがはじめてたっだから、2人してとても緊張していた。


ここの店長さんがとても気さくな人だったから、安心して料理を注文できたことを今でもよく覚えている。
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