絶対様
「美緒!?」


あたしは目を見開いて美緒を見つめる。


美緒もあたしがいることに驚いている様子だ。


しかし次の瞬間、美緒の表情は険しいものに変化した。


あたしが3人と一緒にいることで、なにか勘違いさせてしまったみたいだ。


あたしは慌てて左右に首を振った。


「違うの美緒! あたしも今ここに連れてこられたところなの!」


幸い、真里菜があたしの手を掴んだままだったので、美緒は信用してくれたみたいだ。


「よく逃げなかったね。ナナは逃げようとしてたのに」


咲が立ち上がり、あたしの頭を叩いて言った。


「違う、あたしは美緒と一緒に……!」


美緒と一緒に逃げようとしたんだ。


そう言いたかったけれど、美緒がリビングに入ってきたので言葉を切った。


「あたしは逃げられない。知ってるくせに」


美緒は青ざめているが、しっかりとした声色でそう言った。


「え?」


聞き返したのはあたしだけだった。


他の3人はニヤニヤと粘ついた、いやらしい笑みを浮かべているばかり。


それを見てハッと息を飲んだ。


やっぱり昨日の体育館でなにかがあったんだ。
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