恋愛アレルギー
☆☆☆

「愛美、大丈夫?」


休憩時間に入ったとき、すぐに咲子が近づいてきた。


「うん、本が好きなのは事実だし」


「それならいいんだけれど」


それでも心配そうな顔を崩さない咲子。


教室の後方からはあの3人の笑い声が聞こえてきて、一瞬体が緊張した。


視線を向けて見ると3人ともスマホを取り出して画面を見ながら笑っていて、ホッと胸を撫で下ろした。


あの3人はことあるごとにあたしのことをからかったり、ちょっかいを出してきたりしていた。


中学にあがってそれはなくなるかと思っていたけれど、人は簡単には変わらないみたいだ。


「でもさ図書委員って以外と大変だって聞いたことがあるんだよね。だからあたし、美化委員にしたの」


「そうなんだ?」


「うん。図書委員って主な活動が放課後だけで、各クラスがローテーションになってるから、月に2度しか仕事がないんだって。その分プリントを配ったりとかクラス委員の補佐的な役割もするんだって」


なにそれ。


そんなの聞いてない!


クラス委員の仕事は多いから、元々2人が選ばれている。


それなのに更に図書委員が手伝うなんて!


「まぁ、この学校は外部にも本の貸し出しをしているから、それに関するプリントのみらしいけどね。家の人にどんな本があるのか見てもらって、学校の図書館を利用してもらうのが目的なんだって」
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