恋愛アレルギー
☆☆☆

幸いにも、あたしは昨日の帰り道で船見くんと約束をしていた。


それは、今日も一緒に帰ろうという約束だった。


これがあったからこそ、今日告白したいという気になったんだ。


放課後が近づくにつれてあたしの緊張感は増していき、お昼の給食はほとんど残してしまった。


そして放課後になったとき、船見くんから声をかけてくれた。


「じゃあ、帰ろうか」


「うん」


2人で肩を並べて教室を出るとき、3人組みからの視線を感じた。


だけどそんなこと気にしている余裕もなかった。


あたしはこれから船見くんに告白をする。


それは人生で初めての経験なんだ。


2人で他愛のない会話をして歩いていると、前方に小さな公園が見えてきた。


錆びたブランコがポツンと立っていて、公園内には誰の姿も見えない。


すぐ近くにもっと大きな公園があるから、子供たちはそっちで遊んでいるのだ。


「ね、ねぇ、少し公園によって行かない?」


「公園? いいよ、懐かしいな」


船見くんは笑顔でうなづき、公園に足を踏み入れた。


公園内には錆びたブランコのほかに木製のベンチがひとつ置かれている。


あたしたちはそこに腰を下ろした。
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