恋愛アレルギー
なんで?


どうしてここにいるの?


そんな感情ばかりが渦巻いて、なにも言葉にならない。


すると船見くんが「あれ? 君って確かC組の?」と、その人物へ向けて声をかけたのだ。


同じ学校に通っているんだから、面識があっても不思議じゃなかった。


だけどあたしは下唇をかみ締めてうつむく。


告白しようとしていた勇気がどんどんしぼんでいくのがわかった。


「北澤だよ。B組の船見だろ? 俺のクラスの生徒たちも、お前のことで騒いでたよ」


北澤研司。


小学校6年生のころあたしが好きだった相手だ。


そして研司もきっと、あたしのことが好きだった。


「それでこっちは……愛美か」


研司があたしたちの前で足を止める。


あたしはうつむいたままで顔を上げなかった。


少しも動くことができず、背中に汗が流れていくのを感じる。


同時に小学校6年生の頃の思い出がよみがえる。


あたしは研司のことが好きだった。


そして研司もきっと、あたしのことが好きだった。
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