恋愛アレルギー
咲子に説明されて、あたしはようやく図書館だけ外に設立されている理由がわかった。


休憩時間などに気軽に行けるようになっていないのが不思議だったんだ。


「でもまぁ、なにかあったらあたしも手伝うから、そんなに心配しないで?」


咲子にそう言ってもらえると安心できる。


プリントを配るくらいならきっとあたしにもできるだろうし。


「それより愛美。ちゃんと船見くんにお礼しなきゃ」


そう言われて船見くんが助け舟を出してくれたことを思い出した。


だけど相手は男子で、しかも面識がない人だ。


「そ、そうだね」


と、うなづいてみてもなかなか勇気がでない。


船見くんは今友達と会話中だし、邪魔しちゃ悪いかもしれないし。


なかなか席を立ち上がることができずにいると、咲子があたしの手を掴んで歩き出した。


あたしは慌ててそれについていく。


「船見くん、愛美が話があるって」


船見くんの前で足を止めて咲子が言う。


「え?」


船見くんが大きな目をこちらへ向けてきて、一瞬心臓がドクンッとはねた。
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