恋愛アレルギー
それから先もあたしはずっと上の空だった。


先生の話もろくに聞いていなかったし、放課後の掃除時間になると拭き掃除用にバケツに用意されていた水をこぼしてしまった。


「ドジ」


3人組のひとりがあたしを見て笑う。


「ちょっと愛美。大丈夫?」


すぐに助けに来てくれたのは咲子だ。


「大丈夫だよ。ちょっとぼーっとしちゃって」


言うまでもなく、ぼんやりと船見くんのことを見ていてバケツに足をひっかけてしまったのだ。


咲子と2人でモップで水を取っていると、当の船見くんが近づいてきた。


手には雑巾を持っている。


「ちょうどよかった。水くれる?」


そう言って床にこぼれた水を雑巾に吸い込ませていく。


「あ、ご、ごめんね。あたしが今、バケツを倒しちゃったから」


「なんで謝るの? どうせ床を拭くための水だったんだから、ちょうどいいじゃん?」


船見くんはなんでもないようにそう言って、床の拭き掃除を始めた。
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