恋愛アレルギー
☆☆☆

船見くんのおかげでどうにか理科の授業は滞りなく終わることができた。


片付けは各班で行うから、心配することもなかった。


「愛美、大丈夫？」


落ち込んだまま３階の教室へ戻っていると、咲子が心配そうに声をかけてきた。


「うん……。でも今回は完全に自分のせい。先生の話を聞いていなかったから」


「そうだね。だけどそんなに落ち込むことないよ。ミスは誰にだってあるんだし」


「うん」


うなづいて見ても、やっぱり元気はでなかった。


午前中からこんなミスをしてしまうと、午後からどうなるかわからない。


もっと大きなミスをするんじゃないかと、不安になってしまう。


「ねぇ咲子、先生は他になにか言ってた？」


「ううん。愛美に頼んだのは理科の準備だけだよ。あとは、ひとり休んだからあたしの掃除場所が変わったことくらいかな」


「そっか」


咲子の言葉にホッと胸を撫で下ろす。


「恋ってすごいよね。日常生活がままならなくなっちゃうんだから」


「そうなんだよねぇ」


そううなづいて、ハッとして顔を上げた。


咲子がしてやったりという表情であたしを見ている。

< 27 / 136 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop