恋愛アレルギー
「あたしが児童書を読んでるって、知ってるの?」


「同じクラスだからね。時々図書室で借りているのも見てるし」


そうとわかるとなんだか照れくささを感じる。


「日下部さんはどんな本が好き?」


「あ、あたしは恋愛ものとか、謎解きの本とかが好き」


「そうなんだ。よかったら今度オススメを紹介してよ」


「もちろんだよ!」


それからあたしと田村くんはどんどん仲良くなっていった。


少し難しいと感じる本でも、田村くんに教えてもらいながら一冊読むことができるようになっていた。


休憩時間になるとあたしがオススメしている謎解きの本を一緒に読んだりもした。


それはとても楽しい時間で、いつの間にか田村くんのことを目で追いかけるようにもなっていた。


その時には気がつかなかったけれど、きっとこれがあたしの初恋だった。


田村くんと一緒にいるととても楽しくて、だけどなんだか緊張して心臓がドキドキする。


「どうしたの、それ?」


ある日の昼休み中。


いつものように一緒に謎解きをしていると、田村くんがあたしの首を指差してきた。


「え?」


「赤くなってるよ?」
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