恋愛アレルギー
☆☆☆

それでもあたしは田村くんとの会話をやめなかった。


相変わらず首にブツブツが出てきていたけれど、少しかゆいくらいで気にならなかった。


なにより田村くんとの会話が楽しくて、少しの不調はすぐに忘れられてしまうのだ。


けれどある日、ついに決定的なことが起こってしまう。


「日下部さん。今日も顔が赤いけど、大丈夫?」


田村くんは机の上に置かれた本からあたしへ視線を向けて、心配そうな声で言う。


「大丈夫だよ」


朝出るときはなんどもなかった。


教室へ入ってからもどうってことはなかった。


だけど、休憩時間になって田村くんと会話をしはじめたときから、たしかにあたしの体は熱を持っていた。


大丈夫だと返事をしたけれど、さっきから呼吸が苦しい。


「保健室に行ったほうがいいよ。僕、ついていくから」


見かねた田村くんが席を立ち、あたしの手を掴んだ。


その瞬間だった。


途端に空気を吸い込むことができなくなった。


ヒュウヒュウと喉がむなしく鳴るばかりで、呼吸ができない。


あたしはあまりの苦しさにその場に膝をついた。


「日下部さん!?」


田村くんの慌てた声がする。


ごめん。


大丈夫だから。


そう伝えたかったが声にならないまま、あたしは気絶してしまったのだった。
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