恋愛アレルギー
☆☆☆

「その後小学校6年生のとき好きになった啓治のときも同じだった」


あたしは思い出しながら呟いた。


目の前にいる咲子は難しい表情を浮かべている。


啓治のときも田村くんのときと同じで、突然呼吸ができなくなり、気絶してしまったのだ。


そんな経験があったから、あたしは自分が恋愛アレルギーなのだと思っている。


恋をすると、最悪死んでしまうかもしれない重症なアレルギーだ。


「確かに、2度も気絶したのはおかしいよね」


「でしょう? きっと今回も同じことになって、みんなに迷惑かけちゃう」


それに、なにより自分自身がこわかった。


次は目が覚めないかもしれないという恐怖が、どうしても体にしみこんでいる。


「その体質が改善されればまた恋ができるのにね」


呟いた咲子の視線は友人たちと給食を食べている船見くんへ向けられていたのだった。

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