恋愛アレルギー
船見くんと会話したわけでも、触れられたわけでもないんだから。


それでも、背中にはジワリと汗が滲んでくる。


今までの恐怖心はそう簡単に拭い取ことはできない。


「外の空気でも吸いに行こうか」


咲子に促されて、あたしは逃げるように教室を出たのだった。


中庭に出て深呼吸をするとようやく気持ちが落ち着いてきた。


「今日は天気がよくていいね」


吹き抜けになっている中庭から空を見上げて咲子が言う。


あたしも同じように空を見上げて見ると、雲ひとつない空に鳥が飛んでいる。


「船見くん、やっぱり優しいよね」


咲子の言葉に視線を移すと、咲子は空を見上げたままだった。


「そうだね……」


あれからも船見くんは毎日のように手伝いをしてくれたり、助けてくれたりしていた。


「でも、愛美に対しては熱心だと思うよ」


咲子があたしへ顔を向けて言った。


「え?」


「ほら、昨日またクラス委員の手伝いをしたときも、船見くん手伝ってくれたよね?」


「あぁ……」
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