恋愛アレルギー
「でも……」


あたしはうつむいて地面を見つめた。


中庭の真ん中に植えられている、名前も知らない木から落ちた木の実が転がっている。


いくつかは生徒たちに踏まれて赤い汁が出てきていた。


「大丈夫。なにかあってもあたしがいるでしょう?」


咲子が自分の胸をドンッと叩いて言った。


その心強さに思わず笑う。


「そうだね。なにかあったときにはお願いね?」


「まかせなさい!」


咲子はそう言い、白い歯を除かせて笑ったのだった。
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