恋愛アレルギー
勇気を出す
そういえば、お腹が空いたときって無理をせずに少し食べると気持ちが落ち着くんだっけ。


翌日の学校で、あたしはそんなことを考えていた。


昨日咲子から受けたアドバイスをもう１度考えてみていたのだ。


食事と同じように、恋でもそうなのかもしれない。


自分から少し船見くんに近づくことで気持ちが落ち着いて、このドキドキも落ち着いてくれるのかもしれない。


昼休憩時間になり、食事を終えたあたしはカバンの中からポッキーを取り出した。


船見くんは教室の中央あたりで数人の友達と談笑している。


あたしはポッキーの箱を握り締めて、船見くんに近づいた。


「あ、あのっ！」


緊張で声が裏返ってしまい、顔が熱くなる。


振り向いた船見くんと視線がぶつかった瞬間、心臓が大きく跳ねて焦った。


自分の胸に手を当ててゆっくりと呼吸を繰り返す。


大丈夫。


ちゃんと空気を吸い込めているし、ドキドキも少しおさまってきたようだ。


「なに？」


「あの、これ、みんなで食べない？」


ぎこちなくなりながらも、みんなにポッキーを差し出した。
< 44 / 136 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop