恋愛アレルギー
それからあたしと咲子は1時間ほど店内を見て回った。


洋服は粗悪なものばかりではなく、ちゃんとしたブランドものや一度も着用していないものも混ざっていた。


その中から水色のワンピースと白いカーディガンを購入して店を出た。


2着購入しても400円だ。


こんなに安い店があるなんて知らなかった。


「とりあえずはこれでいいね」


「ありがとう咲子。これでどうにかなりそうだよ」


デートなのにデート代がないなんてしゃれにならないことになるところだった。


「ううん。じゃメークはまた明日、学校で教えるから」


「うん。ありがとう」


あたしと咲子はその場で別れて帰路を歩き始めた。


太陽は随分傾き始めていて自然と早足になる。


家が見えてきたそのときだった。


道路の角から見知った顔が出てきてあたしは思わず歩調を緩めた。
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