恋愛アレルギー
そう言われてあたしは慌てて左右に首を振った。


いやなわけがなかった。


「い、いいよ」


そう答えてあたしは左手をそっと差し出しす。


船見くんはあたしの手をしっかりと握り締めて、微笑んだ。


あたしは恥ずかしくて船見くんから視線をそらし、地面を見つめた。


2人分の足が同じように歩いている。


こんなに近くにいるのに。


手までつないでいるのに。


どうしてあたしは発作を起こさないんだろう?


あたしはそっと顔を上げて船見くんの横顔を見つめた。


整った綺麗な顔。


サラサラの髪の毛にキメこまやかな肌。


女子たちに人気なのも当然だと思えた。


でも、今は2人きりだ。


他に邪魔をしてくる人は誰もいない。


あたしは船見くんの手を強く握り返したのだった。
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