恋愛アレルギー
☆☆☆

誰かから嫌われるようなことになっても、船見くんへの気持ちは変わらなかった。


最初は諦めようと思っていたけれど、今はもう諦める必要がないとわかってしまった。


そうするとあたしの中の気持ちはどんどん大きくなって行って、今度は船見くんにちゃんとこの気持ちを伝えたいと考えるようになっていたのだ。


そして、ある日の昼休憩時間中。


給食を食べ終えたあたしと咲子はひと気のない渡り廊下へと移動してきていた。


「ここは人がいないし、窓からの日差しが気持ちいいし、寝ちゃいそうになるねぇ」


少し広い渡り廊下には、木製のベンチが置かれている。


そこに座って咲子は大きな欠伸をした。


「本当に、気持ちがいいね」


あたしはそう言いながら周囲に人がいないことを確認した。


あたしはこれから咲子に重要な相談をするつもりでここに来たのだ。


誰にも聞かれるわけにはいかない相談だ。


「なにか相談?」


咲子はあたしの気持ちに感づいていたように聞く。


「どうしてわかるの?」


「さっきからベンチにも座らずにそわそわしてるじゃん。見ればわかるよ」
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